経口による界面活性剤の生体毒性

 


誤って洗剤を多量に飲んでしまったとき「界面活性剤中毒」という状態になります。
 
 
経口では、粘膜に直接作用するため、界面活性剤の作用も顕著です。
タンパク変性作用、細胞膜機能の低下により、血管の透過性を亢進し、循環血漿量を減らすことで、次のような症状が現れます。
 
 


 

界面活性剤中毒の症状

 
 
・口腔や咽頭、消化管の粘膜を刺激し、腐食・損傷させる。
・腹痛や嘔吐、下痢を起こし、吐血、下血がみられる。
・脱力、筋力低下、けいれんなどの神経症状が生じる。
・循環血漿量減少性ショック、アシドーシス(血液が酸性に傾く)、
 肝障害、肺水腫などにより死亡することもある。
 



 

対処法・治療法

 
 
・牛乳または卵白を飲ませる。
・吐かせたり、穿孔(消化管に孔が空くこと)に注意しながら胃の洗浄を行う。
・下剤、活性炭を投与する。
 
 

 
これはあくまでも「誤って洗剤を多量に飲んでしまった」時の場合。
しかし残留しやすい合成界面活性剤が経口で体内に入る可能性は、下に挙げるように日常的に多々の場面であるのです。
 
 
 
・洗った食器に残存している合成界面活性剤
・野菜に使われた農薬に分散剤として配合されている合成界面活性剤
・洗濯物に残存している合成界面活性剤(タオル・おしぼり・台布巾…)
・掃除に使い、家具などに残存している合成界面活性剤
・歯磨き粉に含まれている合成界面活性剤
・食品添加物として配合されている合成界面活性剤
 
 
 
これらは微量ながらも、その影響は日々積み重なります。
 
 
経口で入るこういった化学物質の9割は、最終的には肝臓で「解毒」され、尿や便・汗・呼気に含まれ排出されると言われています。その間に粘膜を損傷し、腸内細菌にダメージを与え、血中では赤血球を壊し、慢性的な疾患や不定愁訴のきっかけとなる可能性が示唆されています。
 
 
(ここでは合成界面活性剤について取り上げましたが、日常生活の中で経口摂取される有害な化学物質は、食品添加物・残留農薬・養殖魚や畜肉の抗生物質・ 飲料水の汚染物質など多岐に渡っており、危険が囁かれる物質はたくさん存在しています。)
 
 


肝臓は、体内で常に発生している老廃物を処理していますから、体内に入ったこれらの物質の処理は更に肝臓の負担となります。それが肝臓の解毒能力以上の濃度となれば、体内への蓄積量が増える可能性もあります。





 
   

■肝臓の解毒作用が及ばない物質もある



自然界にはさまざまな物質があり、「天然」といわれる物質も原子が集まってできている化学物質に他なりません。


ただ、自然界で利用され循環している化学物質は、大小さまざまな動植物が分解酵素を持っていたり、もともと体内に存在する物質であったりしますから、有意義に使われるものや必要不可欠なものが多いのです。


どれだけ科学技術が進歩しても、人の体の仕組みもまた、この自然界の法則に則っています。
合成され新たに作り出された物質を、人の体が体内で代謝することができるよう進化するためには、天文学的な数字の年月が必要になることでしょう。


 






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