「経皮毒」とは?

 



2005年に薬学博士の竹内久米司氏、薬剤師・薬学博士の稲津教久氏による著書「経皮毒ー皮膚からあなたの体は冒されている!」で使われたのが、「経皮毒」という言葉が世に広まったきっかけと言われています。
 
 
肌から吸収され、分解されにくく排泄されにくい有害化学物質を指します。
日本では「経皮毒」に関して、価値観、知識、生活環境、そして特に立場などから、その有無自体に賛否があるという状況が残念ながらあります。


現実には、アロマセラピーや漢方などだけではなく西洋医学においても、経皮吸収を利用した治療や対症療法は世界中で認められており、「経皮毒」とされる有害な化学物質だけが経皮吸収されないという理論の方が無理があるのですが、これは「経皮毒」という言葉のインパクトの大きさにも起因しているでしょう。


「経皮毒」という言葉だけがむやみに商用利用されていることも問題だと思われます。
「『経皮毒』は市販の台所洗剤に含まれ、使っているとガンになる」「同社の製品はすべてナチュラル成分」「同社の製品でアトピーが治る」などと虚偽の説明を行って商品を販売していたなどどして行政処分された(ニューウエイズ(現モデーア)の例がよく取り上げられています。

 


 


しかし、実際は経皮吸収が疑われる物質の種類はとても多いのです。
そして、ひとつひとつの物質について動物実験は繰り返されており、そこで急性毒性や慢性毒性が確認された値の0.1〜0.01倍量しか製品には含まれていないとはいえ、その危険性はどこまでも拭いきれないのです。
 

例えば、女性が使う生理用品。
化学繊維と高分子ポリマーでできた生理用品の使用をやめ、布ナプキンやコットン製の使い捨てナプキンにした女性の多くが、月経不順・不正出血・月経前症候群(PMS)・重い生理痛や月経過多の明らかな改善を経験しているという事実があります。
 
 
また、2009年に正式に厚労省で「中毒」として病名登録された化学物質過敏症という疾患があります。これは、身の周りにあるごく微量の薬物や化学物質によって自律神経症状をはじめ様々な症状が引き起こされる「本態性環境不耐症」「環境病」とも言われる疾患です。
この疾患においての感作量は、様々な実験に基づいた「安全とされている量」をはるかに下回るものなのです。

 





現代社会では、普段の生活で悪影響のある化学物質に全く接触しないということは不可能です。 
そして、接触した合成化学物質がが体内でどのような動向をするのかは、明確な検証結果を得るのがとても難しいことです。複数の物質の相互関係もあり、その状況が日常生活のあらゆる場面で起きうることも、その理由のひとつでしょう。
 
 
今後、化学物質の経皮吸収についての検証が事実をまずは正しく把握することから始まり、いつの日かその機序が詳しく解明されることが期待されます。








目次へ戻る   前ページへ   次ページへ





 

カテゴリーから探す

コンテンツ