お洗濯のテスト (2)  石けんと水の硬度

 

石けんでのお洗濯は、界面活性剤を使ったものですがその安全性は高く、しっかりすすいだ後は洗濯物がすっきり柔らかく仕上がり、とても気持ちのいいものです。


そんな石けんでのお洗濯で注意したいことのひとつが、水の硬度成分による界面活性剤の失活。→石けんの特性とは?
Ca2+やMg2+といった二価陽イオンと界面活性剤が反応することにより、水に不溶の金属石けんを生成するため、界面活性剤は洗浄力を失ってしまうのです。


その様子を実際に確認するのが、このお洗濯テストの目的です。

 




1、純水  (硬度     0mg/L)
2、軟水 (硬度   60mg/L) …ヴォルビック を使用
3、硬水 (硬度 304mg/L) …エヴィアン を使用


1の純水は硬度成分が限りなく0に近いものとして扱います。
2の軟水は、日本の平均的な水道水の硬度(50mg/L前後)に見立てました。
3の硬水は、日本の水道水の硬度と比べるとかなり高い硬度のものです。→水道水の硬度


石けんは、パーム油を原料としたカリ石けん素地(30%)のものを使用します。


1滴ずつ落とし、その都度かき混ぜます。
そして、消えない泡ができた(臨界ミセル濃度に達した)と判断した滴数を記録していきます。
 

 

 

 

まずは水温6℃で実験スタート

 

冬の室内のため、水温が低いです。
それぞれpHを測ったあと、液体石けんを滴下していきます。






しかし、水温が低く、成分が溶け切らずに濁り始めました。


パーム油に多く含まれる脂肪酸はパルミチン酸とオレイン酸です。
オレイン酸の石けんは冷水にでも溶けやすいのですが、パルミチン酸の石けんは水温が低いと溶けづらい性質があります。(→油脂を構成する脂肪酸の特徴とは? →脂肪酸による石けんの性質)


その性質が、ここで表れてしまったようです。


写真は、全てに13滴入れてかき混ぜたものです。
1の純水と2のヴォルビックの泡立ちを確認した段階ですが、溶け切らない界面活性剤のため結果が適正にならないと判断し、ここで中止にしました。


 

 

水温を40℃にして再び

 

溶け切らない石けん成分による曖昧さは明らかに減少しました。





3滴目で、1の純水に泡ができました。
(2滴目ですでに泡が立ちそうな雰囲気でした。界面活性剤はすごいですね)
液は透き通ったままです。


2と3は、同じ程度に白く濁りました。
生成した金属石けんによる濁りだと思われます。






9滴目です。
2のヴォルビックの泡が消えなくなりました。
界面活性剤は水中の硬度成分と反応し終え、充分なミセルを形成できるようになったということです。


逆に、3のエヴィアンは、まだ水中の硬度成分との反応に界面活性剤が消費されている状態だと思われます。この時点で、2よりも濁り方が強いです。


1の純水はさらに泡立ちやすくなっています。
ただ、先ほどの写真と比べると、うっすら白くなっているように見えます。
この純水がどのレベルのものなのかが不明ですので、その理由ははっきりとしませんが、泡立ちを確認した時点では透明度を保っていたことから、パルミチン酸の石けんがこの水温で完全に溶け切らないことが原因だとも考えられます(室温が低いため、水溶液の温度も下がっています)。






19滴目で、3のエヴィアンが泡立ち始めました。
この時点でかなり濁りが強いです。
写真では分かりづらいですが、ビーカーの内側や泡の表面に白い膜のような汚れが確認できます。
1と2には見られないことから、主に生成した金属石けんによるものと考えられます。


 

 

結果を踏まえて

 

途中で中止した低水温でのテストでは、まず界面活性剤がしっかり溶けることの必要性がわかりました。


また、水温40℃の純水の結果から、界面活性剤がしっかり溶け、硬度成分に消費されることがない状況ならば、界面活性剤はスムーズに臨界ミセル濃度に達することが確認できました。


1の純水と2のヴォルビックの差(6滴)は、硬度成分と反応するのに費やされた界面活性剤とみて良いと思います。この地域の平均硬度は44mg/Lということで軟水地域ではありますが、普段の石けんを使ったお洗濯の時に見られる水の白濁と泡立つまでに消費する石けん量の理由は、やはり水の硬度成分にあるということが実感できました。


この場合、白濁の原因は、界面活性剤と硬度成分の反応による不溶性の脂肪酸カルシウムまたは脂肪酸マグネシウムの析出というわけです。


ちなみに、これを1の純水と3のエヴィアンの差(16滴)と比較すると、硬度の差(2は 60mg/L、3は 304mg/L)との相関は予想されるものとは違います。
これは「反応に必要な時間を考慮していない」「界面活性剤が完全に溶解する温度を保てていない」ということも含め、そもそものこのテストの精度をさらに高めた検証があっての話ですので、今時点では考慮しないものとしておきます。


 

 

硬度成分にいかに対応するか?

 

硬度成分があることにより、石けんを使ったお洗濯ではそこに消費される界面活性剤が増えるばかりか、排水中の有機物をただ増やすことに繋がってしまい、家計の面でも環境を考慮した場合でもやはり良いものではありません。
また、不溶性の金属石けんが洗濯物を白く汚してしまうことに悩まされることもあるでしょう。


普段のお洗濯で純水をふんだんに使うことができれば、石けんのお洗濯における硬度成分の問題は解決しますが、なかなかそんなわけにはいきません。


対策のひとつめとして、まずは硬水でも泡立ちが良いとされるヤシ油やパーム核油、植物油脂などを原料とする石けんを選ぶことが挙げられます。
この石けん原料油脂による違いは、今後検証してみたいことのひとつです。


 

 

あらかじめアルカリ剤を溶かしておくと?

 

アルカリ剤である炭酸塩には「硬度成分と反応して硬水を軟化する」また「水をアルカリに保つことにより石けんの洗浄力を高める」という効果があるといわれています。


この「硬度成分と反応して硬水を軟化する」とは、炭酸ナトリウムを水に溶かしたときの炭酸イオンCO32-と硬度成分を反応させるというものです。(炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムが生成されることになります)
実際には、炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムはある濃度(50mg/L)までは水に溶けますので、水の硬度がそれ以上の場合にのみ有効と言えます。(それ以上の濃度になると析出します、鍾乳洞の成分と同じだと考えるとわかりやすいですね。)




今回、実はもともとの水のpHの差が気になり、セスキ炭酸ナトリウム(重曹2:炭酸ナトリウム1)でpHをある程度揃えたものについても同様のテストを行っていたんです。
まず純水をpH9.5、ヴォルビックをpH9.4、エヴィアンをpH9.3として、テストをスタートさせたのです。


(しかし実際には、pHをそこまで上げるために、ヴォルビックでは純水の4倍ほど、エヴィアンでは純水の10倍ほどのセスキ(pH9.8)を加えなければなりませんでした。その差のため、このテストの結果は参考程度ということに留めておきます。)





写真は、同じ手順で泡立つまでの滴数を記録したものです。


泡立つまでの界面活性剤の量を同じ40℃の場合と比較すると、3のエヴィアンについてのみ、明かな減少が認められました。
そして、2と特に3の金属石けんによると思われる白濁は、かなり薄くなったように見えます。


ちなみに、この3の水だけは、セスキを溶かした際から白濁が始まっていました。これがセスキ中の炭酸イオンCO32-によって生成され、溶解濃度(50mg/L)を超えた「炭酸カルシウム・炭酸マグネシウム」だと思われるのです。
上の写真で確認がしづらいのですが、もろもろとした白い固まりがそれです。




ただ、セスキを溶かした時点では透明だった純水が、界面活性剤を入れると濁りだした原因が今のところはっきりしません。


いずれこの記録を踏まえたうえで改めて方法を考え、アルカリ剤による硬度成分の影響についても検証をしたいと思います。




 

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